ブロンプトンとは?その歴史と特徴

ブロンプトンの歴史

1975年、アンドリュー・リッチーはアパートの寝室で魔法の絨毯をつくろうとしていた。

その絨毯は20秒でちいさく折りたためる独創的な折りたたみ自転車で、自宅から見えるブロンプトン礼拝堂(Brompton Oratory)にちなんで「ブロンプトン」と名付けられた。

当初は資金調達に苦労したものの、ブロンプトンを所有していたネイム・オーディオ創業者の支援によって一気に製品化が進む。映画さながらの熱い展開だ。

いまではブロンプトン専門の世界選手権が開催されるほど多くの人々に愛される自転車となった。

日本とのつながりが深く、2011年3月、ブロンプトン直営店「BROMPTON JUNCTION」は世界で初めて兵庫県神戸市にオープンされた。オープン当時の店主のブログが残っている。

イギリス国内での製造にこだわっているブロンプトンはいまもロンドン郊外の工場でハンドメイドでつくられている。ブロンプトンを愛用するファッションディレクター金子恵治さんは「奇跡に近い」と表現した。

ブロンプトンの特徴

機能的で、クラシックで、コンパクト。しかも、美しい。そんな折りたたみ自転車がブロンプトンだ。

なかでも特筆すべきは、折りたたみの速さと美しさ。

靴紐を結ぶのと同じくらいの感覚で、20秒もあればすっきりと折りたたむことができる。その姿は芸術的な美しさと機能美が共存しているように思う。

たとえば、4畳半の部屋でも邪魔にならず、折りたたまれたブロンプトンに朝日が差し込んだ佇まいにはつい目を奪われてしまう。

けれどブロンプトンの魅力は折りたたみだけにとどまらない。

見た目のかわいらしさとは裏腹に、意外にも優れた走行性能と耐久性を誇る。

僕の感覚では、舗装路はマウンテンバイクより速く、クロスバイクと同等のスピードで走ることができる印象だ。

耐久性については使用経験が浅く言及できない。けれど、SNSでは10年20年と大切に乗り込まれたブロンプトンの姿を拝むことができる。

ブロンプトンの価格と価値

ブロンプトンは高価だ。

スタンダードモデルで30万弱、高級モデルだと90万円近くにもなる。

僕は10年前に製造された中古のスタンダードモデルを20万円で手に入れた。

じゃあ、それだけの価値があるのかどうか。

残念ながら僕にその答えはわからない。

たとえば、ブロンプトンより速くて安い自転車は存在する。けれど折りたたみ機能がなかったりする。

中華製の折りたたみ電動自転車のほうが安くて速いかもしれない。一方で安全性やクラシックな佇まい、胸をくすぐるようなモノとしての魅力には欠けるかもしれない。

なにを優先して、なにを切り捨てるのか。

それは個人の判断に委ねられる。

「unBIKE〜ブロンプトンと暮らす〜」ではブロンプトン乗りの僕が初心者にも伝わるように、専門用語を使わず簡潔に、魅力や微妙な点を伝えていきたいと思っている。ブロンプトンを推すつもりはない。ただ僕のブロンプトン乗りとしての経験が判断の一助になれば幸いだ。

僕はブロンプトンにモノとしての魅力だけでなく、暮らしの道具としての使いやすさを感じている。

積載力を活かして日用品を買い込んだり、折りたたみを活かして電車に積んで移動したり、人によっては旅に出たりもする。

この記事ではブロンプトンの特徴についてあっさりと触れた。次の記事「ブロンプトンでできること、できないこと」では、もう少し具体的にみていこう。

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