概要
モデル | 素材 | 重さ | 特徴 | 価格 |
Cライン | スチール | 最も重い | 頑丈・伝統 | 30万 |
Pライン | スチール+チタン | 中間 | バランスがいい | 50万 |
Tライン | チタン+カーボン | 最も軽い | ハイエンドモデル | 85万 |
この記事で細部の違いにまで触れることはない。専門用語も極力使わない。自転車に興味を持ちたての初心者に大まかな違いを把握してもらうことが目的だ。
ブロンプトンには、素材ごとに大きく分けて3つの基本モデルがある。
Cライン(定番のスチール)
Pライン(スチール+チタン)
Tライン(チタン+カーボン)
ひと目見ただけだとどれも似ていて、かんたんに小さく美しく折りたためるという特徴も変わらない。
さらに素材の違いに加えて、カラーリング、ハンドル形状、変速段数、リアキャリアの有無など選べるようになっている。セミオーダーに近い。
ラーメン屋で麺の硬さや脂の多さを選ぶように、ブロンプトンという1つの車種に素材とパーツの違いがあると考えるとわかりやすい。
ちなみに中古車を探していると
Cライン
ブロンプトン誕生時から存在する伝統的なモデルがCラインだ。
スチール製のCラインは、丈夫で長く使える。最新素材ではないものの、手にしたときの安心感が魅力だと思う。
主要3モデルのなかではもっとも手頃な価格をしているけれど、車重がもっとも重い。そして錆びやすい。
重さはあるものの、折りたたみや走行性能といったブロンプトン本来の魅力はしっかり味わえる。
日々の暮らしから旅まで、あらゆるフィールドで活躍してくれるはずだ。ただ電車に載せるときやアパートの階段の昇り降りのように自転車を担いで歩くシーンが多いなら、車重を大きな負担に感じる人もいると思う。
錆びやすさについては致命的な問題になるケースは少ないと思う。30万円の自転車を家の前に雨ざらしで放り出す人はいないだろうから、雨で濡れたあとに水気を拭き取って乾かしてやるなど、常識的な範囲で気をつけていればいい。
Pライン
スチール製の車体の一部にチタンを使うことで軽量化されたPラインはよりスポーティーに走行することができる。
チタンの特徴は軽いこと。スチール製のパーツをチタンに置き換えると軽量化に繋がる。
馴染みの薄い素材だけど、たとえばJINSではチタンのメガネフレームを取り扱っている。アウトドアでは調理器具に使われることもある。
後述のTラインより重いけれど、Cラインより軽い。僕は乗ったことがないけれど、バランスの取れたモデルと言えると思う。
Tライン
チタンとカーボンでブロンプトン史上最軽量に仕上げられたのがTラインだ。
よほどの自転車好きか、予算に余裕のある人にしか買えない価格になっている。
けれどスタンダードモデルのCラインの欠点であった重量問題は解消した。ここに大きな価値を感じる人がいるのは確かだろう。
ただスーパーの駐輪場に停めておくのは盗難が心配になるというデメリットもあるため、用途や運用方法はよく考えたほうがいい。
またカーボンは一点に強い衝撃が加わると割れることがある。たとえば道路でこけたらブロンプトンにヒビが入るということもあり得る。スチールなら壊れないかというとそうでもないけれど、「目の届かないところにダメージがあったらどうしよう」と心配してしまう僕はカーボンを使った自転車に乗れない。
ハンドルによる違い
2種類のハンドルから選ぶことができる。
・曲がったハンドル(Mハンドル)…リラックス
・まっすぐなハンドル(Lハンドル)…スポーティー
Mハンドルはママチャリのようにリラックスした乗車姿勢となる。
Lハンドルは少し前傾姿勢で空気抵抗を減らしスポーティーに乗れる。
ロードバイクの選手がピタピタの服を着たり体を低くして乗るのは空気抵抗を減らし速度を上げるためだ。ブロンプトンでより速度を出して走りたいならSハンドルが向いている。
ただし、Lハンドルよりもっと空気抵抗を減らしたいという場合は、カスタム前提であえてMハンドルモデルを選ぶ手がある。
というのも、少しマニアックな話になるけれど2種のハンドルの違いはハンドル形状だけではない。実はハンドルを支えている「ステム」の長さが違う。ステムだけ見るとMハンドルモデルのほうが低く、Lハンドルモデルのほうが高い。
つまりMハンドルモデルをSハンドルのようなまっすぐなものに交換すると、Sハンドルより乗車姿勢を低くすることができるというわけだ。
変速による違い
ブロンプトンは数種類の変速数から選ぶことができる。
変速というのは6段とか12速とか言うアレのこと。走りながら手元の変速レバーをカチカチ動かすことで、道に合わせてペダルを漕ぐ重さを変えることができる。登りなら軽く、平坦路や下り坂なら重くして使う。
一般的に、坂道が多い地域に住んでいたりスポーティーに走りたい人には変速数が多いモデルが勧められている。変速数が少ないと「坂道がきつすぎて漕げない」「もう少しスピードを出したいのにペダルが空回りして速度を上げられない」ということが起こりやすいからだ。
僕は2速のモデルに乗っている。
ブロンプトンに乗る前は変速することができないシングルスピードの自転車に好んで乗っていた。どんな道が現れようともただ漕ぐだけというそのシンプルさが好きだった。それはブロンプトンに乗ったいまも変わらない。
変速がない自転車で旅をする人もいる。
リアキャリアの有無による違い
リアキャリア、つまり後ろの荷台だ。
リアキャリアがあるとよりたくさんの荷物を運ぶことができる。
ブロンプトン専用のフロントバッグは優れているとはいえ、トイレットペーパーを運ぶだけで精一杯のものも少なくない。だから僕のように暮らしに根ざした使い方をするのであれば、リアキャリアがあったほうが便利だと思う。
またリアキャリアがあると折りたたんだときの安定感が増す。
荷物をたくさん運んだり、折りたたみ時の安定性を優先するなら、リアキャリア付きがいいと思う
一方で、走行性能や軽さを優先する人にとっては、リアキャリアを付けない選択もある。
どのモデルがいい?
どのモデルが自分に合うかは、「何に使うか」と「どこで使うか」によって変わる。
たとえば…
日常使い?旅用?
それとも両方?
駅まで?スーパーまで?
山道も走る?坂道は多い?
荷物は多い?持ち運ぶ?
どれか一つでも変われば、最適なモデルも変わってくる。一般的には「軽くて変速が多いと快適」と言われるけれど、どれだけ悩み抜いて選んでも、乗ってみるときっと想定外の新発見がある。
僕自身、よく吟味して「これが正解だ」と思って買っても、乗ってみて初めてわかることもあった。
ブロンプトンは中古市場でも人気で売りやすいから、「ブロンプトンに乗りたい」という情熱に身をゆだねて勢いで選ぶのもアリ。じっくり選ぶのもいいけれど、「これがいい」という感性も大切にしたい。